オンライン時代の働き方に必要不可欠!

ポイント1:能力・適性の「見える化」

 これまでの日本の昇格・昇進制度は、候補者に指名されたら、まず不合格になることはありませんでした。
 入社年次や学歴、人事評価の累積成績によって、ほぼ横並びでマネージャーなどへの昇格・昇進が決まりました。
 昇格候補者になると昇格面接や論文審査などに向けて、上長は事前指導に多大な時間をかけてきました。万が一、不合格になると、候補者はもちろん、上長の姿勢まで問われる大変な問題になりかねないからでした。この制度では、マネージャーになるのに一定の時間がかかってしまいます。給与制度と並んで年功的なものの最たるものという指摘がありました。

 これに対して「人材アセスメント」に基づく昇格昇進では、年功的な要素は問われることはありません。職場が必要だと思う人を必要な時に、昇格候補者として指名することができます。たとえ、若くても、経験が浅くても、職場や会社が「この人をマネージャーにしたい、昇格させたい、任せたい」と考えるタイミングで昇格機会に臨むことができるようになりました。

ポイント2:合理的な評価基準(ディメンション)

 「人材アセスメント」タイプの昇格昇進や配置では、その人が本当にふさわしいのかどうかを合理的に測定する必要性が生じます。
 人材アセスメントを行う上で、一番、最初にすることは、どのような評価基準でその人を評価するのか、評価項目や評価の軸を定めることです。
 これを「Dimension(ディメンション)」と言います。もともとは寸法や体積、次元などという測定の基準を指す言葉でした。
 人材アセスメントでは人の能力を評価する能力要素のことをディメンションと呼んでいます。評価を行う上では、あらかじめ能力水準を定めておいて、評価を行うアセッサーが観察しながら、どのレベルにあるかを定めていきます。
 ディメンションは業界や企業の特性によっても異なってきます。営業系の会社であれば、お客様に対する能力は必要不可欠な能力要素でしょうし、生産系の企業であれば日常的なカイゼンにつながる問題解決に関する能力が必要になってくるでしょう。
 したがって、人材アセスメントを行う上では、このディメンションを評価を行うアセッサーや人事担当者などの人々と話し合って決めなくてはなりません。できればアセスメントを受ける候補者の人々にとっても、どのような基準で評価されるのかが明らかになっていることが望ましいとも言えます。

ポイント3:経験ではなく能力のサンプリングで決める

 人材アセスメントのプロセスは目的によっても異なります。
 昇格昇進ということであれば、やはりその人の能力をきちんと見て優劣を決めるということが目的になりますが、能力開発のための研修だという場合には、能力評価の結果を伝えて、その後の取り組みの指針にするということが目的になるのかもしれません。
 後者の研修目的の場合にはアセスメントプロセスは割合、簡略化されて行われます。昇格昇進を目的にする場合を例にしましょう。昇格昇進の場合には、おおむね3つのステップでアセスメントが行われます。

①タスクハンドリング(インバスケット)

 まず最初に行われるのは「タスク型」の課題について取り組んでもらいます。アセスメントを受ける人に、まずケースブックが渡されます。中には20程度の未処理案件が順不同に入っていて、これを90分から120分前後の時間で処理することが求められます。ケースリストを読み、自分の判断を回答用紙に書くことが求められます。
 それぞれのケースは、さきほど説明したディメンションに基づいて作成されていて、どの案件をどのように処理したかでディメンション評価ができるように構成されています。
 90分20ケースとした場合、1問当たりの時間は4.5分ですが、全体に目を通すなどを考えると極めて短い時間でそれぞれのケースについての判断を下し、その内容を回答用紙に記載しなくてはなりません。タスク型問題処理での評価の目のつけどころは、全部を処理できるかということよりも、どのように処理したのか、というところにあります。
 優先順をつけたのか、処理に理由はあるのか、自分で何もかもやろうと抱え込んでしまわないか、部下があるならきちんと仕事を振り向けたか、上長や関連部署への報連相や配慮はあるのか、などの視点から評価が行われます。
 たとえば優先順という観点から考えた場合、今、処理する必要はないと判断すれば、事後処理に回す、また自分が処理するのではなく誰か部下などに処理をゆだねるのであれば、〇〇に処理を依頼、などとすればいいわけです。
要はいかに効率的に生産的に短時間の間で合理的な処理ができるかが問われることになります。処理内容は「書く」ことが求められますので「読む・理解する・咀嚼する」ことと合わせて評価されることになります。

②「1 on 1」シミュレーション

 それぞれの候補者に少し長めのケースが配布されます。内容は問題を抱えている部下の状況をもとにしたケースであることがほとんどです。
 候補者はケースを読んで、そのケースの中にある部下やメンバーと面談を行うように求められます。もちろん、ある設定の上でケースは作られていますので、その本人がいるわけではありません。部下役をアセッサーが務めることになります。
 アセッサーは、企業で管理職としての経験を積んだ人やアセスメント教育を受けた人などが務めます。様々な質問やあなたの指導に対する反応をし、部下に対する指導力や傾聴能力、説得力など、定まったディメンションに基づく評価を行います。この面談シミュレーションも録画されることがほとんどだと思います。感情の動きや表情、部下役のアセッサーとのコミュニケーションなど、さまざまな観点から再評価されます。

③グループシンキング

 タスク型の処理に関するアセスメントが終了すると、複数の候補者をグループにして、自各個人の判断をもとにグループとしての妥当解を検討するように指示があります。妥当解を検討する上では、1番優先順の高いものについて検討する、もっとも判断の別れたケースについて検討する、など、その時々の状況によってテーマが与えられます。
 ディスカッションの様子は、アセッサーによって観察されています。自説に固執していないか、少数意見になったとしても自説をきちんと主張できるか、メンバーの考え方や意見を受け入れ、合理的な議論に発展させることができているか、などの視点から評価が行われます。多くの場合はビデオカメラが設置されていて、ディスカッションの様子は録画されています。ディスカッションが終わってから人事担当者など関係者を交えて再評価される際の資料として使われます。

④フィードバック

 タスク型課題、グループディスカッション、面談趣味レーションの3段階が基本的な人材アセスメントのプロセスです。アセスメントが終わると、アセッサーは録画したビデオや様々な資料をもとに、それぞれの候補者についての評価結果をまとめていきます。
 評価結果がまとまったら、その内容は、それぞれアセスメントを受けた本人にフィードバックされます。フィードバックは上長からが基本ですが、人事担当者が行う場合や外部者であるアセッサーが行う場合など様々です。
 フィードバックでは、ディメンションに基づいた、それぞれの能力要素についての評価結果が伝えられます。昇格昇進の場合、その可否についても理由を含んで伝えられます。
 人材アセスメントは一度で終わり、というものではありません。ディメンション評価はその人の能力の過不足を評価しますから、仮に今回、昇格基準に達しなかったのは、どの項目でどの程度なのかということがはっきり伝えられます。
 次回に向けて、その指摘に基づく自助努力を行うことが可能になります。