インバスケット試験の「傾向と対策」

マスターしよう5つのポイント!

ポイント1:やらないを決める
たとえば90分で20問だとすると、1問あたり4分30秒。読む時間もあるから実際の回答に割ける時間はもっと短い。すべてをやろうと思うと時間が足りなくなってしまいます。
インバスケットなどのタスクハンドリングを人材アセスメントで課すのは、制限された時間の中でどれだけ効率的な意思決定ができるか、どれだけ具体的な処理行為に落とし込めるか、を見るのが目的です。
全部のケースに対応できればそれに越したことはありませんが、できなくてもそれはそれで構いません。
「できないのではなくて、やらない」という意思決定があれば、試験官に意思はしっかり伝わります。
「今は対応しない、後日、改めて処理する、部下の誰かに指示してやらせる。まったく対応しない」というのもあり。
「今は対応しない」という短文を書くのは15秒もあれば十分。極端なことを言えば、20問のうち17問についてそう判断したとすれば回答を書くのは4分強で終わります。
ほかの3問については、しっかり回答しようと考えたわけですから、残した時間を使ってしっかり回答すればいい。こういう時間の使い方ができるかどうかを試験官は見ているわけです。まずインバスケット試験全体の時間の使い方を考えましょう。

ポイント2:決め方を決めておく
どのケースから手を付けるかは優先順の問題。優先順の決め方はいろいろあるので標準的な方法にこだわることはありません。たとえば社内で使っている方法や自分なりに決めている方法などであれば、それを駆使して決めていけばいいのです。難しく考えす、総合的に考えてABCの3段階で決める方法でも構いません。

参考)標準的な優先順の決め方
 標準的な方法としては「重要度・緊急度」で決める方法がよく知られています。この方法では、重要度、緊急度を数値化して、すべての事例をまず評価する、と説明されることがありますが、まともにこれを信じてやると大変なことになることがあります。
インバスケットのように、短時間で、どれだけ多くのタスクをハンドリングできるかを問う状況では、あまり精緻な決定方法、たとえば重要度5段階、緊急度5段階として評価するなどの方法は煩雑過ぎることがあります。重要度・緊急度を決めて回答せよという場合は別として、あまりに精緻過ぎる判断は過ぎたるは及ばざるがごとしということにもなりかねません。優先順を決める上で押さえておかなくてはならないのは、「軸に重みをつけておく」ということ。つまり「決め方を決めておく」ということ。
たとえば「重要度3、緊急度4」としたものと「重要度4、緊急度3」としたもの、どっちを優先するのかということで迷いが生じ、時間だけが浪費されていくということがあります。「重要度が高くて緊急度が低いもの」と「重要度が低くて緊急度が高い」もののどちらを優先するかということですが、これは「決め」の問題だ、と割り切ることが大事です。
要は、重要度と緊急度のどちらを優先させるのかを先に決めておかないから、優先順が決められないのです。「今回は同水準であれば、緊急度の方を重要度より優先する」と予め決めておけば、「重要度が低くて緊急度が高い」ものの方が「重要度が高くて緊急度が低いもの」より優先されることになります。判断軸に重みをつけておくことを忘れないようにしましょう。

ポイント3:職務限界を押さえる
インバスケットでは、状況設定の中でなりきる役割が説明されていますが、ケースによっては権限外のことや部署違いと思えるような内容が書かれていることがあります。
たとえば、仮に総務課長の役割が設定されていたとすると、お客様から代表電話にクレームが入ってきたということが書かれている場合があります。普段の落ち着いた状況なら、お客様への丁寧な対応はもちろんのこととして営業に電話を回してしっかり対応してもらう、というところで仕事は終わるのではないでしょうか。
ところが、インバスケット試験に臨んでいる場合、「クレームの内容を確認し、原因を追究して対応策を練り、お客様に回答期日を約束して自らの責任で回答に出向く」などと書く人がいます。できなくはないでしょうけれど現実的でしょうか。
それぞれの職務には職務分担や役割定義で定められた職務範囲が存在するはずです。同じように「部をあげて対策を実施するよう指示をする」と書いたとして、それは本当に課長の責任範囲でできるのか、と考えなくてはなりません。仕事にはおのずと職務限界があるということを再認識しなくてはなりません。
回答していく場合、限界があるとして、ではどうするのか、と考えるところに工夫や自分なりの知恵を発揮するチャンスがあるはずです。状況説明に職務限界の記載がないのなら、常識的に考えてどうなのかという判断を行わなくてはなりません。

ポイント4:意思決定・処理判断の構造を決めておく
優先順を決めてもむやみに回答すればいいというものでもありません。構造的に回答できるかということを考えなくてはなりません。単純に言えば、そのケースが提示している状況について、ご自分はYESと言うのか、NOと言うのかをまず決めてくださいということです。ビジネス用語として言えば、承認するのか、否認するのか、ということを、まず決めなくてはなりません。
もちろん、条件付き承認、条件付き否認、保留、無視というものもあるでしょう。そのような複雑な条件を付加する前に、要はOKなのかNOなのか、という判断が下せなくてはなりません。
時間軸的に言えば「その場対応するのか、事後対応するのか」ということもあるでしょう。また「自分自身で処理するのか、部下などの他者を活用するのか」ということもあるでしょう。対人対組織という観点を加えれば、「上長への報連相、水平周知、関連部署への依頼など」のコミュニケーション対応もあるでしょう。
今取り上げた判断要素で言えば、「承認・否認」「その場対応・事後対応」「自己処理・委任処理」「報告・連絡・周知対応」の4つの要素で考えているに過ぎません。ケースを処理する上で、自分の判断要素はいくつあるのか、どれを使うのか、という視点で考えておかなくてはなりません。

ポイント5:回答は箇条書きで簡潔に。空白回答はしない。
背景や勘案した条件、それに至った理由などを綿々と書き連ね、結局、結論がどこにあるのかさっぱりわからないという回答があります。
ビジネスの現場では「結論が先」。「何をどうする」ということがわかればそれで十分です。
人が動く、組織が動く、ということができればそれで十分。文章や字の上手い下手は関係ありません。わかりやすければそれでいいのです。
物理的な4条件「納期、コスト、担当者、作業場所」が重要であれば、必要に応じて盛り込めばいいし、なぜそうするのかという理由が必要であれば、その旨を書き添えればいいということになります。
回答は箇条書きで十分ですが、回答欄を空白にしておくことは好ましくありません。
「処理しない」のなら「処理しない」と書いておかなくてはなりません。
あなたの回答の意思を表明しておかなくてはなりません。